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耳鼻科医が教える!睡眠時無呼吸症候群の原因と治療

サイト監修にしむら耳鼻咽喉科

大阪府八尾市安中町3丁目7-6-2F

睡眠時無呼吸症候群症状ガイド

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このページの目次

1. 患者数と潜在患者数の大きなギャップ

2. 睡眠時無呼吸症候群の本当のリスクとは

3. もしかして睡眠時無呼吸症候群!?検査方とは

4. 睡眠時無呼吸症候群のときの解決方法

5. 睡眠時無呼吸症候群にならないために出来ること

6. 最後に


1. 患者数と潜在患者数の大きなギャップ

睡眠時無呼吸症候群はある時期まではほとんど知られていない病名でした。

おそらくは、睡眠時無呼吸症候群でありながらそうとは思わずに一生を終えた人もたくさんいたと思われます。

いま、睡眠時無呼吸症候群という名称が確実に認知されてきています。

電車で運転士さんが居眠りをしてしまった原因がそれであったことなどから新聞を賑わせるようになったからです。

(2003年2月 山陽新幹線ひかり の運転トラブル)←http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000041499.pdf

4 資料1 報告書2 - mhlw.go.jp<http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000041499.pdf>
www.mhlw.go.jp
4 1-A良い睡眠で、こころの健康づくり 良い睡眠をとることは、こころの健康づくりとして重要である1。不眠が抑うつなど

過去に居眠り運転で事故を起こしてしまった方のなかにもきっと睡眠時無呼吸症候群が原因だった方もおられたんだろうと私は推測しています。居眠りということで周りから責められたり、自責の念もかなり強かっただろうなと思います。


「居眠りするのは気が緩んでる」と思われていたものが実はひとつの病気であった。

これはすごい発見であっただろうと思います。


この病気はご自身にその自覚がなければ統計には現れてこないため、正確は数字はわかりようもありません。推計としては治療が必要な人の数は200万人とも300万人とも言われています。

そのうち、実際に治療を受けているのは10万人とも40万人とも。

研究機関によっては500万人と推定しているところもあるそうです。

http://www.hirohata-hp.or.jp/patient/gairai/pdf/sas.pdf

https://659naoso.com/sas/risk

https://medical.jiji.com/topics/452?page=1

イビキをかいている人のなかにはかなりの数の症候群の人たちが含まれていると思われますが、「イビキをかいてるから病院へ」という発想を持っている人は少ないはずです。それが重大な交通事故につながらなければいいのだけれど、、、と耳鼻科の医師として切に願うところです。
<https://659naoso.com/sas/risk>


また、高血圧の治療の際にこの症候群を指摘されることもあります。高血圧から無呼吸症候群がみつかるというケースです。

高血圧気味で急激な上昇が脳動脈瘤を破裂させる可能性があれば、防止のために後述するシーパップを装着してもらうこともありえる話です。

睡眠時無呼吸症候群は他の「命にかかわる疾患」と連動しやすい危険性をはらんでいることをぜひ、理解していただきたいのです。

2. 睡眠時無呼吸症候群の本当のリスクとは

睡眠時無呼吸症候群。その名のとおり、睡眠時において何度か呼吸が止まる症状です。

医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり無呼吸が5回以上あれば、睡眠時無呼吸と定義付けされています。

しかし、空気の流れがとまることだけが問題なのではありません。

そのことによって、身体とくに脳が酸素不足になります。そこが問題。結果、脳の疲労もとれませんしなによりも熟睡できないために昼間、異常に眠くなってしまいます。

大事な会議ばかりか、商談中にまぶたが落ちてきた、という話もありますしいちばん怖いのは車の運転です。

この眠さは、絶対に寝てはいけないという意思をねじ伏せるくらいの強烈な眠さで襲いかかってきます。

少しでも疑いのある人は、「ただの寝不足だろう」とたかをくくらずにすぐに耳鼻科や専門医を受診してください。

しかし問題はさらに深刻な要素をはらんでいます。

寝ているときに呼吸が止まることによって、さまざまな体調不良や病気が引き起こされてくることがあるのです。
https://659naoso.com/sas/complication


たとえば、心不全や脳卒中。

たとえば、高血圧や糖尿病。

まだまだ解明されていないことも多い睡眠時無呼吸症候群ですが、一見してまったく関係なさそうな、しかし命にもかかわってくる病気との関連が指摘されはじめています。


寝ているときは本来であれば副交感神経が優位になります。

しかし、無呼吸に陥ったあと呼吸が再開されるときには、寝ているにも関わらず覚醒状態に近くなり交感神経が活性化するとみられています。

ぐっすり眠ることで身体をメンテナンスし、疲労を回復するための時間であるにも関わらず酸素不足に陥っているばかりか交感神経が亢進してしまうことでさまざまな不調が引き起こされてくるのです。

心不全や脳卒中、は命に関わりますし、重い後遺症が残ることもありますよね。

サイレントキラーと呼ばれるものに高血圧がありますが、まさに自覚しようもない睡眠中のトラブルこそ、本当の意味でのサイレントキラーと呼べるかもしれません。

3. もしかして睡眠時無呼吸症候群!?検査方とは

起床したときに熟睡感がなく、いつまでも眠い、日中に猛烈な眠気が襲ってくる、という自覚のある方や、高血圧などの心配をする数値であれば一度、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみるのもいいかも知れません。
もし、ご家族とお住まいであれば睡眠中のことを聞いてみるのもいいでしょう。
ポイントは
・イビキをかいていないか
・イビキが急に止まってはまたイビキが再開されていないか
といったところでしょう。
特に3〜50歳台で肥満体型にある人でイビキをかいていることを指摘されたことがあればこの症候群の可能性は高いと言えます。


しかし、ハッキリとしたことは病院で診断を受けてみないとわかりません。
5人に1人は睡眠障害を抱えていると推測されている現代。イビキをかかない人、太っていない人、女性にも見られるので油断は禁物です。
眠いということだけでなく、自身が交通事故などの当事者になってしまわないようにしっかりと検査を受けておくべきでしょう。


その場合の検査法はまず、簡易検査からということに。
睡眠中に呼吸が止まっているかを調べる検査ですから、機器を持ち帰って寝るときにそれを装着する検査です。
寝る時だけの検査ですから日常生活にはなんら影響はないでしょう。

後日、指定された日に病院に行き、結果をもとに診断をしてもらうことになります。
もし、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、今度は病院に一泊しての検査ということになります。
(この時点で診断が確定していれば、即治療がはじまることもあります)
入院しての検査では、簡易検査ではわからない部分までのチェックを行います。
イビキの質、呼吸時の空気の流れ、心電図や脳波など。
こちらの検査も寝るときだけの検査ですから、仕事帰りに病院に行き、翌朝にはまた仕事に出勤できるように段取りが組まれることも多いので安心してください。

寝ている間に終わる検査であり、痛みを伴うことはありませんが、実際に受けた人にお聞きすると・・・
「機械をつけて病室でいつもどおりに寝てくださいと言われてもなかなか眠れるものではない」
と苦笑いされておられた方もおられました。
それでも一睡もしないことはありませんし、医師もじゅうぶんにわかっていることですのでそんなことは気にせずに受診されると良いでしょう。

4. 睡眠時無呼吸症候群のときの解決方法

では、診断として「睡眠時無呼吸症候群」が確定した場合にはどんな治療が行われるのでしょうか?
よくあるのが
「CPAP療法:経鼻的持続陽圧呼吸療法」と呼ばれるものです。口頭で「シーパップ」と言われたらこのことです。
飛行機でトラブルがあったときに、上から落ちてくる酸素マスクのようなものをお顔に装着し、気道を確保します。寝ているときに無呼吸になってしまわないようチューブから空気を送り込み続けます。
もっとも一般的な治療法で、多くのケースで保険適応になります。
当院でも扱っておりますので詳しくはお尋ねください。

なぜ無呼吸でここまでするのかと思われるかも知れませんね。

この病気は、寝ている間のことなので、「痛い」「苦しい」という気持ちを持ちにくいもの。大したことないのでは・・・と思われがちです。
しかし、寝ている間に呼吸が止まるということは大変なことなのです。
脳やカラダに空気が適切に送られてこなければ命に関わりますよね。
だから脳は必死で「息をしろ」「酸素をよこせ」と指令を送ることになります。当然、脳の疲労は一晩では取れません。
寝ているときは副交感神経が優位になっています。その寝ている状態でありながら命のキケンにさらされて交感神経が亢進してくる異常な事態が身体に起こっています。

また、短距離走や潜水のように息を止めるとそのあとドクンドクンドクンという脈拍とともに血圧が一気に跳ね上がるのはみなさまも体験済みでしょう。
これは高血圧を引き起こすだけのことではなく、心臓に大きな負担をかけますし脳卒中などのリスクをも増大させることになります。もし、動脈瘤などがあればどうなるか。そう考えると怖くなってきませんか?

また、「手術」によって喉の振動する部位を切除する方法もあります。
口蓋咽頭形成術と呼ばれるもので、振動する部位をなくしてしまうので100パーセントとは言えないまでもイビキはほぼ消失します。これによって睡眠時無呼吸症候群の改善を目指します。
麻酔、入院、術後の喉の痛みなどがありますのでシーパップに比べると負担は大きい選択肢になってきます。

お子様の場合は大人よりも多い比率で「手術」が選択肢にあがります。
いわゆる「扁桃腺を切る」と言われていたもの。
今風でいうなら「アデノイド切除」。

高熱がよくでる、と言った理由で昔は切除されることが多かったのですが、今は子どもの睡眠時無呼吸症候群で行われることがあります。
子どもでもここが肥大することで気道を狭くしてしまい、いびきをかき、睡眠時無呼吸症候群が引き起こされることがあります。布団で寝ると息が止まるからか親が起きたときに我が子がソファで座って寝ていた、というケースを聞いたことがあります。
今はなるべく手術はしない、大人になるのを待つことが主流ですが、このように睡眠が阻害される状況であれば切除を薦められることもあります。子どもの成長、脳の発達面からも、睡眠はとても重要だからです。
成長ホルモンは夜間に分泌されるのをみてもわかるように子どもにとって睡眠は重要課題。
また寝不足は子どもの昼間の元気を奪います。
切除のメリット・デメリットを考えたうえで手術、という選択を行うケースがあります。

小児の場合ですと、耳鼻咽喉科を受診してもらって喉や鼻の状態を把握。副鼻腔炎などが治癒してくるとイビキなども治まってくることがあります。蓄膿なども無視できない要因です。だからこそ耳鼻科にできることがあるわけです。
それでも手術が必要と思われる場合には総合病院に紹介状を書くという流れもあります。

顎の骨を広げる手術もあるにはありますが、おそらく日本ではあまり選択肢にあがってこないでしょう。
重症のケースには向きませんが、軽度の場合には「マウスピース」の装着が功を奏することもあります。
医師の検査の上、マウスピースが良いと診断された場合に歯科医との連携のもとにマウスピースの作成、睡眠時の装着ということになりますのでまずはやはり検査を受けていただくことが大前提です。

鼻づまりを軽減するスプレーや呼吸を刺激するスプレーが用いられることもあります。

5. 睡眠時無呼吸症候群にならないために出来ること

睡眠時無呼吸症候群になりやすいのはどういう人かというとやはり肥満傾向にある人だといえるでしょう。とくに男性に顕著に現れます。
こういう外見の人はなりやすい、という記事も散見されますが、外見は変えようがないのでここでは触れません。
横向きで寝るのが良いということもいえるのですが、まず大事なのが健康管理。

太っている方、成人してから太り始めた方はまずダイエット。
太ることによって気道が狭くなる、舌も肥大することでなおさら空気の通り道が狭くなる。
ここを変えていかないと根本的な改善がむつかしくなってしまいます。
シーパップは俗に言う「保存療法」。マスク装着することで睡眠時に呼吸が途絶えるのを防ぐ療法です。
マスクをやめれば、なにも変わっていない可能性もあるからです。
マウスピースも同じくです。根本療法ではないので、それで状況を悪化させないうちに、生活の改善に取り組んでいきましょう。

また、この病気が引き起こす合併症をみたときに、高血圧、心疾患、脳卒中、糖尿病などがズラリと並んでいます。
これらは睡眠時無呼吸症候群でなくても、メタボであればもっとも警戒すべき症状なのはおわかりですよね。
肥満×睡眠時無呼吸症候群 この怖さを肝に銘じていただきたいと思います。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000041499.pdf
(18ページ)
10パーセントの体重増加で睡眠時無呼吸を引き起こす危険性は6倍になるとも述べられています。
食事、運動の見直しは必要不可欠といえるでしょう。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000041499.pdf
(21ページ)

喫煙もおすすめできません。
結局のところ、睡眠時無呼吸症候群から脱出するためには、
「健康的な生活を送る」
「健康的な肉体作りをする」
ことに密接に結びついてきます。

この病気は、高血圧や脳卒中、糖尿病を連れてくる、と書きました。
改善するためには健康的な生活が必要。
考えてみたらとても当たり前のことだったんですね。

さて。大人もですが、お子さんには気をつけてあげてほしいのが、「口呼吸」です。
口呼吸が、より空気の通り道を狭めるから、というのが理由のひとつです。
ですが、口呼吸そのものが、喉に直接、バイキンを含んだ外気が当たるために喉に炎症を起こしやすいんです。
そうすると結局は咽喉が腫れて気道が狭くなる。それによって睡眠時無呼吸症候群が引き起こされやすくなりますし、場合によってはアデノイドの切除ということになることも。また、喉の奥の炎症が全身に広がるということも起こりえます。
大人であれば耳鼻科で行われるかなり痛みを伴うBスポット療法が効果を発揮するのですがお子さんにはかなりの痛みゆえにあまりオススメしたくはありません。
いずれにしろ口呼吸こそは百害あって一利なしと覚えておいてください。

喫煙はお止めになったほうが、と書かせていただきましたが飲酒もあまりよろしくありません。
アルコールを飲んだ日は盛大にいびきをかく人がいます。
ご自身が「睡眠時無呼吸症候群かも」と思われるような方であれば、アルコール摂取はほどほどにするのが賢明かと思われます。
たまには楽しいお酒は良いものですが寝酒は思われているほどには睡眠薬代わりにはなりませんし、むしろ無呼吸を誘発する要因になりえます。
毎日の寝る前の飲酒も控えていただきたいところです。

6. 最後に

「やっぱり自分は睡眠時無呼吸症候群かも」
と思われたときや、
「可能性はあるなあ・・・」
と不安になったときは耳鼻咽喉科に足を運んでみてください。
名称が「睡眠時無呼吸症候群」であるためにどこに行けばいいのかわからなかった、というお声を聞いたことがあります。
総合病院に行けば睡眠科があるの?とりあえず内科なのか?と思われていらっしゃる方もおられました。
蓄膿が改善すればイビキが治ったお子さんもおられます。
喉、鼻などから総合的に診察し、治療法も詳しく説明させていただくことができます。

運転中の眠気で命のキケンが、心疾患で命の危険があるこの病い。
気になったらできるだけ早く、病院で検査を受けてくださいね。

耳鼻咽喉科であれば、喉の状態、鼻の状態も詳しく検査した上で睡眠時無呼吸症候群に対応させていただくことができます。
副鼻腔炎など鼻が詰まっていることもイビキの要因、ひいては無呼吸を引き起こすことがあります。
喉や鼻の専門家である耳鼻咽喉科でまずはご相談ください。

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph101.html


https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-026.html


https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-001.html


https://659naoso.com/sas/risk


http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42


http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000041499.pdf


http://www.hirohata-hp.or.jp/patient/gairai/pdf/sas.pdf


http://www.suimin.net/topics/dr/vol_12.html


http://diamond.jp/articles/-/69859





睡眠時無呼吸症候群

耳鳴り

サイト監修Bスポット療法

医療法人
にしむら耳鼻咽喉科
院長:西村明子

(社)日本耳鼻咽喉科学会
耳鼻咽喉科専門医

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